大阪電気通信大学

死体による酸性土壌の影響を受けた、水色の桜の3D静止画の制作

作品概要

この作品では、桜の樹の下に埋まっている死体の影響を受けて、ピンク色から水色へと変色した桜をBlenderおよびUnityを用いた3Dで制作し、静止画という形で表現しました。

制作経緯

桜の樹の下には屍体したいが埋まっている!
 これは信じていいことなんだよ。何故なぜって、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。-梶井基次郎「桜の樹の下には」

明治から昭和にかけて活躍した小説家、梶井基次郎の著書「桜の樹の下には」には、見事に咲く桜の美しさに不安を覚え、その美しさは根下に埋まった死体の体液を啜っているためではないかと考えてしまう主人公が登場します。

また、染色手法の一つである、「桜染め」には、桜の花は元来白く、死体の血を吸うことでピンクになっているのだという俗説があるそうです。

このように、桜と死体とを結びつける考え方は、昔から度々見かけられるものでした。

実際には、人体に含まれるチッ素やリン酸が生育に影響を与える可能性はあるものの、死体が桜に与える影響はそれほど大きくありません。

色に関しては、土壌の性質によって花の色が変化することで有名なアジサイと同じ「アントシアニン」という色素を持ちながらも、桜の花の色は遺伝子的に決定されており、土壌による影響を受けて変化することはないようです。

以上の背景を踏まえた上で私は、「死体による酸性土壌の影響を受け、現実ではあり得ない水色の花を持つ桜が、墓場に爛漫と咲いていたら面白いのではないか」と考え、3D静止画として制作することにしました。

制作過程

  1. 3DCGソフト「Blender」を用いて3Dの桜と墓石を制作
  2. ゲームエンジン「Unity」に桜のデータを持ち込み、土台の制作とライティングを行う

1.Blenderを用いた3Dの桜、墓石の制作

墓石の制作
1.平面から花びらを制作
2.花びらのテクスチャをベイクし、板に貼り付ける
3.板を八角錐に貼り付け、再びベイクする
4.ベイクしたテクスチャを八角錐にマテリアルに反映させ、八重桜の花びらを制作
花びらを木に取り付けて桜を制作
ピンク色の桜も同様の手順で制作

2.Unityへ桜を移動させ、土台の制作とライティングを行う

1.UnityのTerrainツールを用いて桜や墓石を配置するための舞台を制作
2.中心に水色の桜を配置し、その周りを囲う様に墓石とピンクの桜を配置
3.Directionalライトを削除し、背景色を暗くすることで夜を表現。月明かりに照らされた桜をイメージし、PointライトとHaloを用いて満月を表現した。
4.Spotライトを用いて木の周辺をライティング。
木の上半身をピンクで照らすことで妖しさを表現し、下半身はSpotライトと同色を用いることで違和感をなくすよう心がけた。

完成した作品

作品データのダウンロードリンク

https://drive.google.com/drive/folders/1nxhR-56GjzAtD3bNfKBEYyzYxISI1gkf?usp=sharing(アセットパッケージとexeファイル、圧縮済)

参考資料

作者プロフィール

若山廣多

デジタルゲーム学科4年、環境デザイン研究室所属
最近はスト6にハマっています。

コメント


上田和浩2025-02-08T13:04:39

怪しげな雰囲気の桜がいいですね。八重桜の八重はたくさんの意味で、8枚の花弁でできているという意味ではないです。(通常10枚以上のものが多い)また、開花と同じタイミングで葉も茂ります。ソメイヨシノでよかったのでは?