大阪電気通信大学

ゲームコントローラーのカスタマイズと制作

過去に作成したコントローラーのPV

概要

 近年、eSportsの競技シーンでは、プレイヤーが自分に合った操作デバイスを求める声が高まっています。既存のコントローラーでは得られない操作性や快適性、反応速度や耐久性が重要視されているためです。本研究では、これらのニーズに応じて、プレイヤーのパフォーマンスを最大限に引き出す格闘ゲーム向けカスタムコントローラーを開発し、より優れた操作デバイスの設計を追求しました。


制作物紹介

GCCPro

大乱闘スマッシュブラザーズに向けたコントローラーとして設計し、ゲームキューブコントローラーの形状を残したままボタン配置を変更したものです。従来のボタン配置は独特なボタン配置で現在販売されているコントローラーの配置とは異なり入力の際に違和感があるため、シェルのデータを変更しプロコントローラーと同じ配置に変更を行ったものになります。外装の変更だけでは動作させることができないため、基板との間にフレキシブル基板と呼ばれる薄い基板を挟み、はんだ付けを行うことで入力を可能にしています。


カスタムパーツ

 ゲームキューブコントローラーやプロコントローラーなどで既存のパーツを交換することで使用することができる部品の制作も行いました。純正のコントローラーでは得ることのできないメリットをこれらのパーツを使うことによって発揮することが可能になります。それぞれにメリットがありますが、耐久性や押しやすさ、デザイン性や使いやすさなど様々な人がそれぞれ選んで自分にあうパーツを使うことができるように設計しています。その中でも特に人気のカスタムパーツ「RippleStick」を紹介します。

 市販のコントローラーのスティックのほとんどはラバー素材が使われており、使用していくにつれて削れていきプレイに支障がでてきてしまいます。また、素材によっては手汗で滑ることもあり、細かい操作やはじく動作などでどうしても思ったようにプレイできないときが出てしまいます。
 それを改善したものがこのRippleStickです。素材はナイロンを使用しており、3Dプリントにより成型しています。形状は波を打ったような見た目が特徴で波紋のような形状になっています。これにより指へフィットし優しい触り心地を実現しています。表面は少しざらざらしているため手汗をかいても滑りにくくなっています。ラバー素材を使用していないため摩耗に強く、長期間の仕様が可能になっています。

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BoxArcadeController

 BoxArcadeControllerは、FDM式3Dプリンターで制作可能なレバーアーケードコントローラーです。このコントローラーは家庭用3Dプリンターを使用することで、自分好みのカラーで作成できる点が特徴です。また、データの変更が容易で、ボタン配置やデザインをプレイヤーの好みに合わせてカスタマイズできることも大きな魅力となっています。
 さらに、BoxArcadeControllerはコンパクトな設計を採用しており、従来のレバーアーケードコントローラーと比べてサイズが小さく、軽量です。それにもかかわらず、使用時には安定感のある適度な重みがあるため、操作の安定性を確保しつつ、持ち運びもしやすいという利点があります。

BoxArcadeController本体
3Dプリンターのスライサーソフトでの画像

活動

ゲーム大会での展示

 関東、関西の大型コミュニティー大会にて展示しました。約2000人以上の方々に様々な自身の制作物を試遊してもらい、改善を重ねてきました。触ってもらった感想を聞くと、手が小さくて操作しづらかった人からは、「ボタンが押しやすい」といった感想をいただきました。また、操作しやすいという声も多く寄せられました。また、そこで新しいアイデアをいただき制作を行ったものなどもあり大会への展示はとても貴重な体験を何回もさせていただきました。

プロチームのスポンサー

 プロのeSportsチーム「Soleil Gaming」様のスマブラ部門のスポンサーとしてコントローラーの提供をさせていただいております。先日スポンサーしている選手が世界6位になりました。今後も選手の手となるコントローラーをメンテナンス、サポートさせていただく予定です。

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作者プロフィール

小川 遥樹

学部:総合情報学部
学科:デジタルゲーム学科
所属:デジタルアーキテクチャ研究室

格闘ゲームを中心としたコントローラーデバイスのカスタムおよび開発を個人で行う。

プロチームへのスポンサーや強豪選手へのサポートなど幅広く活動している。

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